葬儀中のマナーを解説｜参列者が守るべき服装・姿勢・言葉遣い

本記事では、参列者が守るべき服装・立ち居振る舞い・言葉遣いの基本を網羅。焼香や香典、座席位置の作法に加え、仏式・神式・キリスト教式・友人葬など宗派ごとの違い、数珠や香典袋の準備、通夜から忌明けまでの流れまで、初めてでも安心できるよう丁寧に解説します。
「失礼なく参列したい」「正しいマナーを短時間で押さえたい」方に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

葬儀中のマナーの基本とは？

葬儀・葬式の意味と役割

葬儀や葬式は、故人を偲び、遺族へ哀悼の気持ちを示す厳粛な儀式です。参列者にとっては、故人に最後のお別れを伝える大切な場であり、遺族の悲しみに寄り添う姿勢が求められます。服装や立ち居振る舞い、言葉遣いの一つひとつが、遺族への思いやりを形にする要素となります。

参列者に求められるマナーの三本柱

参列者が意識すべきマナーは「服装」「作法」「言葉遣い」の3点です。第一印象を左右する服装、式の流れに沿った立ち居振る舞い、そして遺族への心遣いを表す言葉。この三点を意識することで、失礼なく参列でき、遺族の気持ちに寄り添った対応ができます。

宗教や宗派による違い

葬儀のマナーには共通する部分が多いものの、宗教や宗派によって細部に違いが見られます。代表的な違いを整理すると、以下のようになります。

• 仏式：日本で最も一般的で、焼香が中心となります。宗派によって回数や仕草が異なり、浄土真宗では1回、真言宗や曹洞宗では2～3回行う場合があります。焼香後は合掌し、静かに一礼するのが基本です。
  
• 神式（神道）：玉串奉奠という儀式が行われます。榊の枝に紙垂をつけた玉串を神前に捧げ、時計回りに回して根元を神前に向けて置きます。その後、二礼二拍手一礼を行います。拍手は「忍び手」と呼ばれる音を立てない方法で行う点が特徴です。
  
• キリスト教式：カトリックとプロテスタントで作法に違いがあります。カトリックでは献花の際に胸の前で十字を切ることもありますが、必須ではありません。プロテスタントでは黙祷や祈りを捧げる形が一般的で、白いユリや菊など清楚な花を用いて献花します。いずれの場合も静かに花を捧げ、遺族に一礼する姿勢が求められます。
  
• 創価学会（友人葬）：僧侶を呼ばず、学会員が中心となって勤行や題目を唱える形式です。焼香台を用いて焼香することもありますが、読経や儀式は仏式とは異なります。参列者は「南無妙法蓮華経」と題目を唱える流れに参加し、遺族へ静かにお悔やみを伝えます。
  

このように宗派ごとに儀式や所作は異なりますが、共通して大切なのは「故人を敬い、遺族に寄り添う心」です。参列の際は葬儀社や司式者の案内に従い、一般的なマナーを理解した上で柔軟に対応すれば失礼になることはありません。事前に宗派ごとの特徴を知っておくと、安心して臨めるでしょう。

参列時の服装マナー（喪服・小物・避ける装い）

男性の服装

男性はブラックスーツに黒ネクタイ、白シャツを合わせ、黒靴下と黒の革靴を着用するのが基本です。光沢のある素材は避け、アクセサリーは結婚指輪程度にとどめます。落ち着いた服装が、式場の厳粛さを保つうえで重要です。

女性の服装

女性は黒無地のワンピースやスーツを選び、黒ストッキングと黒靴を合わせます。アクセサリーはパールのネックレス程度に限定し、化粧やネイルは控えめにするのが望ましいです。華美にならず、清潔感を重視した服装が求められます。

子供や学生の服装

子供や学生は制服がある場合は着用し、ない場合は黒や紺など落ち着いた色の服を選びます。明るい色や派手な装飾は避け、シンプルで清潔感のある装いを心がけましょう。

避けるべき服装・小物

• 光沢のある生地や明るい色
  
• 大ぶりのアクセサリーや派手な装飾品
  
• カジュアルな服やスニーカー
  

これらは式の雰囲気にそぐわないため、避けることが重要です。

葬儀中の立ち居振る舞い・作法

参列時の流れと受付

会場に到着したら受付で香典を渡し、簡潔にお悔やみの言葉を伝えます。大声や私語は慎み、静かに会場に入ります。携帯電話の電源は必ず切り、式全体を妨げない姿勢を意識しましょう。

焼香の作法と順番

• 一般的には1～3回を目安に焼香
  
• 合掌・一礼の順に静かに行う
  
• 順番は案内に従う
  

宗派ごとに作法の違いはありますが、丁寧に心を込めて行うことが大切です。

座席の位置と参列者の心得

座席は親族や喪主が前方、一般参列者は後方に座るのが基本です。案内役や葬儀社の指示がある場合は従い、勝手な判断を避けましょう。正しい座席位置を守ることで、式の流れが円

遺族への挨拶・お悔やみ・弔電の言葉遣いマナー

遺族への挨拶

遺族への挨拶は、葬儀参列の中でも特に緊張する場面です。形式的でも誠意が伝わる言葉を選び、短く伝えることが大切です。代表的な表現には以下のようなものがあります。

• 「ご愁傷様でございます」
  
• 「心よりお悔やみ申し上げます」
  

これらは一般的で無難な表現であり、遺族に安心感を与えます。逆に、長い挨拶や個人的な思い出話は遺族に負担となる場合があるため避けましょう。言葉は短くても、深い一礼を添えることで誠意を示すことができます。

避けるべき言葉（忌み言葉）

葬儀の場では、普段の会話で使う言葉が不適切になることがあります。特に以下のような言葉は避けるべきとされています。

• 「またまた」「重ね重ね」：死や不幸が繰り返されることを連想させるため不適切。
  
• 「四」「九」：それぞれ「死」「苦」を連想させる数字。
  
• 「浮かばれない」「消える」：死を直接的に表現する言葉で遺族の気持ちを傷つけやすい。
  

言葉選びを誤ると、遺族に配慮していない印象を与えてしまいます。あらかじめ忌み言葉を理解しておくことで、落ち着いて会話できるでしょう。

弔電を送る場合

参列できない場合には弔電を送ることが一般的です。弔電は遺族にとって形に残るため、簡潔で温かみのある表現を心がけましょう。代表的な表現は次の通りです。

• 「哀悼の意を表します」
  
• 「ご冥福をお祈りいたします」
  

これらは宗派を問わず使える定型的な言葉であり、安心して利用できます。親しい関係であれば「生前のご厚情に深く感謝いたします」といった一文を添えるのも適切です。ただし、長すぎる文章は遺族の負担になるため控えめにしましょう。形式に沿いながらも真心を込めた一文が、最も伝わりやすい弔意となります。

葬儀参列前に準備しておきたいこと

数珠の用意

葬儀に参列する際、数珠は仏式の儀式で欠かせない持ち物のひとつです。数珠は宗派によって形や房の色、玉の数が異なりますが、参列者の場合は略式数珠を用意していれば十分対応できます。

• 略式数珠：どの宗派にも使える一般的な形。初めての参列や若い方にも安心。
  
• 正式数珠：宗派ごとに仕様が異なるが、家に伝わるものがある場合はそれを持参するとより丁寧。
  

数珠を持参しているだけで「きちんと準備している」という印象を与えることができます。仏具店やオンラインショップなどで手軽に購入できるため、事前に1つ用意しておくと安心です。

香典袋と金額の目安

香典は故人を供養し、遺族に弔意を伝える大切なものです。袋の種類や表書きは宗教ごとに異なるため注意が必要です。

• 仏式：「御香典」「御霊前」（浄土真宗では「御仏前」）
  
• 神式：「御玉串料」「御神前」
  
• キリスト教式：「御花料」
  

金額は地域の慣習や親族間の決まりによって変わる場合があります。高額すぎても遺族に気を遣わせるため、事前に確認すると安心です。香典袋はふくさに包んで持参するのが正式な作法です。

通夜から四十九日までの流れ

仏式の葬儀は通夜から始まり、葬儀・告別式、火葬、そして法要へと続きます。

• 仏式：通夜 → 葬儀告別式 → 初七日 → 二七日 → 三七日 → 四十九日（忌明け）
  
• 神式：通夜祭 → 葬場祭 → 五十日祭が忌明け
  
• キリスト教式：前夜式（カトリック）または前夜祈祷（プロテスタント） → 葬儀ミサ／告別式 → 1カ月後に追悼ミサや召天記念日
  

仏式では四十九日が特に重要で、故人の魂が成仏し来世に旅立つ日とされています。地域によっては葬儀当日に「繰り上げ初七日」を行う場合もあります。宗派や地域の違いを理解しておくと、参列の際に落ち着いて対応できます。

まとめ

葬儀中のマナーは「服装・作法・言葉遣い」を押さえることが中心です。宗派ごとの違いはありますが、一般的なマナーを理解しておけば安心して参列できます。不安がある場合は葬儀社へ相談するのが確実です。